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Vol.48 僕の”Resonance”ストーリー

#Resonance#フィルムカメラ#フィルム写真#写真集#多重露光


現在クラウドファンディングのプロジェクトを挑戦中の写真集の制作出版ですが、この写真集「Resonance」には、僕が体験したあるストーリーが大きく関わっています。今回のブログではそのバックストーリーをお話ししたいと思います。長文の内容ですが、是非最後までお読みくださいね!

ある父親からの相談

2021年。京都の個展での在廊時、お一人で興味深く作品を見ていた中年の男性がいたので声をかけると、以前にアートフェアUNKNOWN ASIAでも作品を見て頂いていた方でした。作品の話などをしているとその男性からある相談を受けたのです。

その男性には高校入学直前の娘さんをお持ちで、実はその娘さんは写真が嫌いというか、カメラが苦手とのことでした。学校で撮影がある日は登校が辛くなるほど。実際に卒業アルバム用の撮影も大変だったようです。しかしその当時本人が、この写真嫌いを克服したいとこの男性(父親)に相談をするようになり、男性もこのタイミングでそれを克服させてあげたいと思うように。そこで僕の多重露光の不思議な写真であれば、娘さんの写真への固定概念を崩すことができるのではないかと思われたようです。

私は今ここにいる

そしてその場でこのモノクロの多重露光作品(上写真)の卓上写真を購入され、その男性は合わせて僕のホームページに掲載されている他の写真も娘さんに見てもらいながら「作り手から見た新たな世界を見てみよう」と二日間ほどかけてお話をされたようです。すると娘さんは父親に「後藤さんの作風で自分(娘さん)が作り手側だったら(写真に)興味を持てるかもしれない。写真嫌いをなくす一歩になるかもしれない」と話されたようです。

僕はこの男性に購入された写真のことをこのように伝えていました。「このモデルさんは台湾出身で東京で働いている方なんです。そんな異国の地で頑張る女性にマンハッタンのビル街を重ねたのです。1枚の写真ですが3つの国が関わる作品なんです。国籍や民族や住んでいる地域、過去や未来など関係なく”私は今ここにいる”という意思を表現したかったのです」と。男性はこのコンセプトをしっかりと娘さんに伝えて頂きました。だからきっと娘さんも興味を持ってくれたのだと思います。

自分の多重露光の作品がこのような形で人にお役に立てるのだと思った瞬間、しみじみと感動をしていたのでした。


カメラに興味を持ってもらえたら

話は少し戻り、個展会場でこの男性は「まずは娘にはカメラに興味を持ってもらえたら。。。」と話されていました。そこで僕はその娘さんのためにインスタントカメラによる多重露光のワークショップをプライベートで行うことを提案してみました。この提案に賛同して頂いたその男性は、そのために娘さんに僕の写真のことを一生懸命に話をして頂いたのです。そして先ほどの娘さんの言葉のように、「(自分が)作り手の側だったら(写真に)興味が持てるかも」という前向きな気持ちになってくれたようです。そしてプライベートでワークショップを開催することになったのです。

ワークショップ当日。快晴。僕はワークショップの場所を撮影が楽しくできそうな岐阜県内にある屋外施設を選んで、その娘さんはご両親と一緒に来て頂きました。使用したカメラはカメラの概念を覆してもらおうと、真っ赤なデザインのロモグラフィーのインスタントカメラ(上写真)を準備。男性からはカメラ自体も苦手ということを聞いていたので、まずは見た目から気分を上げてもらう作戦でした。

僕がそのカメラを手渡すと何の躊躇もなく、カメラを受け取ってくれました。作戦成功!

そして間髪入れずに多重露光とカメラの使い方のレクチャーをして、早速多重露光の撮影に挑戦をしてもらいました。正直なところ、もうその時点で僕には今まで開催してきたワークショップの受講生と何ら変わらないというか、特別な配慮をする必要もないように感じていました。

これが僕の使命

通常ワークショップではこのように同じ人物を双子のように撮影する多重露光にも挑戦

このワークショップでは10枚の多重露光の写真を撮るという課題を設けていました。これは僕が通常行っているワークショップと同じ内容です。初めは極力失敗しない課題から始まり、徐々に難易度を上げていき、最後には自分のアイデアで撮影してフィニッシュ。娘さんは順調に撮影を進めていき、最後には父親をモデルにして、自分で立ち位置などを父親に指示して見事に撮影を成功させてくれました。その仕上がりにご両親は本当に楽しそうで嬉しそうで、その瞬間、僕はこれが僕の使命なのかなと感じました。

僕は2008年にロモグラフィーのカメラを使い始め、しばらくした頃に初めて多重露光に出会いました。その自由さと面白さに衝動を受けて、自らもその撮影を行い、いまだに全く飽きずに撮影を続けています。僕が初めて見た多重露光からその面白さの「共鳴」を受けて、今はその面白さを僕から他の人たちにさらに「共鳴」させていると感じます。その「共鳴」は、それを受け取った人が何か新しいことを始めるきっかけとなったり、何か変化をもたらすことができるきっかけになると僕は確信をしています。

プライベートワークショップから5年後

ワークショップ後、僕の個展などの展示の機会にはご両親が引き続きご来場をして頂くことがあり、娘さんの報告を随時して頂いていました。実はこの娘さんはワークショップで使用した同じタイプのインスタントカメラを購入して自分自身で少しずつ撮影を始めるようになったのです。カメラ嫌いが少しずつ克服できてきていることに、僕はご両親と同じくらい嬉しくなるのでした。

さて、そのプライベートワークショップから5年後。先日この男性にクラウドファンディングの応援をお願いしたいと思い、久しぶりに連絡をしました。するとその返信には、娘さんは既に大学に進学をされ、大学が運営しているインスタグラムの投稿の写真になんと写るようになったと報告を頂きました。そしてその写真を拝見すると笑顔で本当に楽しそうなのです。もう感動しかありません。

もっと共鳴を生みたい

新作の写真集「Resonance」にはそんな「共鳴」をいろんな方に響かせたいと思い制作をしています。
「Resonance」はこんなストーリーをもっと生み出してくれると僕は信じています。これが僕の「Resonance」を出版したいと強く願った理由です。
もしあなたがこの「共鳴」を感じて、何か新しいことを始めたい、変化を生みたいと感じたなら、是非クラウドファンディングの応援をお願いします!是非一緒にこの「Resonance」を作り上げましょう!!

写真集「Resonance」の制作・出版に向けてのクラウドファンディングのプロジェクトページはこちらです。是非、是非、一緒にこの共鳴を響かせていきましょう!!

この記事の著者

後藤芳貴(ゴトウヨシタカ)

フリーランス写真家。2018年に写真事務所「ジャムアーツ」設立。
ロモグラフィーのフィルムカメラとの出会いを契機に、アナログの多重露光技法を駆使して映画的、絵画的な作品を制作。作品は音楽ジャケット、書籍の装丁、広告など、様々なメディアで使用され、視覚的なインパクトと独自の世界観で多くの評価を受けている。(アートワーク実績:ロモグラフィー/講談社/集英社/光文社/ゆうちょ銀行/ユニバーサルミュージック/FM802 など順不同)

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